201706.11

好きなものは好き

Post by 中西千華 2017年6月11日

わたしたち麻酔科医が“日麻”と呼ぶ、日本麻酔科学会の、今年の学術集会が終了しました。

専門医制度が新しく変わることになり、学術集会の様子が変化しています。

日麻では昨年から、学術集会がディズニーのアトラクションのように混雑するようになりました。

制度がどうなるのか分かりにくいためにとりあえず点数を押さえておこうという動きがあり、もはやwant toではなくhave toで動かざるを得ない部分があるように見受けられます。

おそらく一過性であり、数年後には落ち着くのだろうなと思います。

ちょうど一年ほど前に、「パノプティコン」と「バイオ・パワー」の概念について書きました。

わたし自身の復習もあり、再度記載しておきます。

バイオ・パワーとは、私たちの生活の営みの中で自然に生み出される権力のことです。

パノプティコンは監獄を見張る一望監視システムのことで、監獄の高い塔に看守がいて、看守が囚人を見張っており、囚人からは看守が見えない構造になっています。

パノプティコンでは、囚人は見られているかもしれないという恐怖で逃亡や暴動を企てなくなり、そこにはバイオ・パワーが働いている。そして社会のシステムはまさにパノプティコンだと、ミシェル・フーコーは指摘しています。

(newsjunkiepostより引用)

以上、昨年の記事より。

実際、社会のあちらこちらで、バイオ・パワーが働いているパノプティコンのような部分があります。

わたしたちは本当は自由なのに、自由でないかのように錯覚を起こしています。

わたしは、学問というものは本来“want toのみ”で追及するものだと考えるので、早く専門医制度が落ち着けば良いなと思います。

たとえ周囲がバイオ・パワーによってhave toで動いているとしても、自分自身はぶれずにいたいものです。

“好きなものは好き”、それだけです。

他人のhave toは、こちらのwant toに関係ありません。

バイオ・パワーが働いている状況下でも、周囲に惑わされることなく自分の心を静観する習慣は、とても大切です。

201706.08

人工知能の診断精度

Post by 中西千華 2017年6月8日

先日、BakeryScanを初めて見て驚いた記事を書きました。

記事を書きながら、コンピュータの性能が人間の能力にどのくらい近づくのか考えていました。

今回、興味深い記事を読んだので紹介させていただきます。

医療ガバナンス学会の、6月5日の記事です。

(さらに…)

201706.04

病に感謝する

Post by 中西千華 2017年6月4日

大切な友人からプレゼントをいただきました。

わたしの大好きなハーブティーです。

嬉しいですし、感謝しています。

では、病気に対して、ふだんみなさんはどのように感じていますか?

病気といっても、擦り傷だったり、風邪だったり、精神的なものであったり、癌であったり、身体にとって本当にたくさんの“異常事態”というものがあります。

病気に、感謝していますか?

自分が病気になったときに、自分の病気に対して感謝するのはなかなか難しいのではないかなと思います。

なんといってもしんどくて辛いことが多いですから。

でも病気は、わたしたちに対して、警告を出してくれる大切なものです。

考え方や、体に対する意識の持ち方や、仕事の仕方や、生活におけるバランスのとり方、とにかく何かに対して警告を出してくれています。

病気はわたしたちに「ちょっと立ち止まって!」と言ってくれる、大切なものです。

病気に対して、怒ったり攻撃的になるのではなく、“感謝”することで治るのが速くなることが多いような気がします。

力任せにねじ伏せようとしても、より大きな力で反発されてしまったら病気は悪化します。

原因をよく考えて、「いつもありがとう。」と感謝する。

わたしはコーチングにおいて、さまざまなことを“意識に上げる”ことを重要視していますが、それにつながるような気がします。

お腹が痛かったら、お腹に対して感謝する。

足に怪我をしてしまったら、足に対して感謝する。

意識して感謝することで、わたしたちの自然治癒力はパワーアップします。

201701.22

免疫力

Post by 中西千華 2017年1月22日

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写真は、水曜日に買って調理した舞茸です。

この舞茸には力がみなぎっているような印象を受けるのではないでしょうか。

今週の月曜日と火曜日、喉がいがらっぽい感じがしていました。

風邪をひきたくないと思い、水曜日にキノコをたくさん食べました。

わたしは滅多に風邪をひかないので、何かしら免疫力が低下する瞬間があったはずだと思い、原因を考えていました。

そう考えると、思い当ることがありました。

詳細は書きませんが、心の持ちようで、人間の免疫力というのはとても左右されます。

マインドの使い方が、人間の免疫力や治癒力に大きく関わるということですね。

話を戻します。

ここ1年ほど、わたしがよく食べている食材のひとつに、キノコ類があります。

なかでも、舞茸をよく食べます。

キノコ類をよく食べるようになった理由を少し書きます。

わたしが一緒に暮らしている猫の一匹が、子猫の時の予防接種による反応で弱ってしまったときに、何らかのウイルスに感染しました。

接種後数日間で肺炎が重症化したような症状になり、獣医さんに、「猫の感染症で致死率がほぼ100%のものがあり、その可能性は否定できません」と言われました。

そのときに獣医さんから処方していただいたものの中に、免疫力を上げる動物用サプリメントがありました。

シロップのようなもので、細い1㏄シリンジで、体重換算した量を直接飲ませていました。

発症後、見ていられないようなひどい症状が1週間ほど続きました。

胸水が溜まっているのか、呼吸はゼロゼロで横になると呼吸ができないので、立った状態で小さな前足をわたしの身体にかけて呼吸していた記憶があります。

「生まれてきたばかりだけど、とってもしんどいから、もう、楽になりたい」と言われているようで、辛かったです。

いよいよ入院させてもらいたいと獣医さんに電話で相談した日に、奇跡的に食事を取り始めました。

それまでは、ほとんど食事を取ることができなかったので、粘度の高い、高カロリーの栄養剤を朝晩口に入れていました。

自ら食事を取り始めた、ということは、「お腹が空いて食べたい。生きたい。」ということを意味し、わたしはそれを見て泣き崩れました。

その日を境に、症状が少しずつ回復していきました。

そのときに飲ませていた液体サプリメントが、舞茸から抽出された成分のものでした。

獣医さんは、「これは動物用だけど、僕も風邪気味の時とか、飲むことがあるんですよ。甘いんですよ。」と仰っていました。

サプリメントの宣伝をしたいのではありません。

このような経験をしているので、キノコ類を積極的にとるようになりました。

実体験というのは大切ですね。

キノコ類の経口摂取だと、熱を加えて調理をしますし、免疫力を上げる成分は少ししかとれないかもしれません。

わたしはそれでも良いと思っていて、キノコ類の本当の力以外に、わたしが信じているから、免疫力を上げている側面もあると思います。

わたしは、自然治癒力が備わっている生物にとって、免疫力はとてもとても大切だと考えています。

この世界には、本当にたくさんの、免疫力を上げる方法や、免疫力を上げる食べ物が存在しています。

実際に効果的なものが数多く存在しています。

決してお金をかけなくてもいろいろな方法がありますので、ぜひ、みなさんそれぞれに合った方法を一つでも見つけて、味方につけていただけるといいなと思います。

201611.05

そんなに急がなくてもいいのに

Post by 中西千華 2016年11月5日

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記事を読んでくださっている方の中に、全身麻酔を受けたことのある方がいらっしゃれば分かるかもしれませんが、全身麻酔の後は、しばらく意識がぼんやりしています。

手術が終わったあと、麻酔科医は全身麻酔の薬を止め、患者さんは目を覚まします。

そして麻酔科医は、患者さんが覚醒しているかどうか確認をします。

手術室で覚醒を確認するのですが、後から聞くと手術室で目が覚めたことは覚えていなくて、病室ではじめて目が覚めたと聞くことがあります。

ぼんやりしている程度や時間は、手術の大きさ(手術侵襲)や麻酔で使う薬にもよりますし、個人差も大きいです。

先日、麻酔から覚めたばかりの患者さんが発した言葉が印象に残りました。

80代の方で、ゆっくり、ゆっくり、穏やかに話す方でした。

そのときわたしは手術室スタッフに伝達事項を伝えていました。

スタッフに伝達事項を伝えるとき、わたしは早口です。

伝えようとすることと、伝えられるであろうことが、互いに予測できるからです。

その患者さんは、わたしたちにこのように仰いました。

「・・・みなさんの話している声が、・・・とても、とても、・・・速いように聞こえます。」

「・・・そんなに、急がなくても、いいのに・・・。」

わたしは思わず手を止めて、「本当に、そうですよね。急ぐ必要はないですよね。」と言って、目を閉じている患者さんを見ました。

わたしたち医療従事者は、患者さんの既往歴を把握しており、その方は、過去にとても大きな手術を受けられたことのある方でした。

手術を受けたことがあるかどうかではなく、これまで何度も、いろいろな覚悟を決めた瞬間があったのだろうなということが伝わってきました。

これまでの覚悟の“凄み”によって、その患者さんの、言葉で表現しつくせない深い穏やかさがあるのだと、そう感じました。

最近思うのですが、何かを覚悟したことのある人間は、強いです。

だから覚悟をする方が良いとか、そういうことでもなく、覚悟は、すべきときにするかどうか、それだけの話です。

また、何かを決めるときの判断の仕方は、個人の自由なので、どうあっても良いと思います。

ただ、何か重要なことを覚悟するということは、コーチングでいうゴールに向かう過程での出来事なのかもしれないという印象を受けています。

そこには、人間に秘められた強い”力“があるような気がします。

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