スコトーマ祭②
スコトーマ祭の第二弾として、日本の医学について書きたいと思います。
なんとなくこれまで、あまり医療の記事を書かないようにしていたのですが、少しずつ書いていこうと思います。
日本の医学部では「医学」を学ぶのですが、どうも一般的にあまり知られていないことのようなので、はっきり書きます。
日本の医学部で学ぶのは「西洋医学」であり、「東洋医学」は学びません。
医師国家試験も西洋医学に基づいたものであり、東洋医学についての試験問題はありません。
少なくとも私が学んだ段階ではそのような状況でした。
大学によっては数時間、東洋医学の授業がある大学もあるようですが、“東洋医学の紹介”のような授業内容のようです。
結果として、日本の医師免許を持っている人間にとっては、「東洋医学」はスコトーマになっています。
漢方薬に関しては、処方薬としてもありますし、詳しい医師はたくさんいらっしゃいます。
ただ、学問というのは“体系”ですので、漢方薬のみを深く学んでも“体系”にはなり得ません。
医師が「西洋医学」という体系しか学んでいないことは、日本の医療がこれから考えていかなければならない問題だと、わたしは考えています。
正直なところ、わたしとしては、大問題だと考えています。
日本の医師の中で、このことに問題意識のある人間がどれほどいるのかわからないのですが、おそらく少なからずいると考えています。
なぜならば、西洋医学は素晴らしいけれども、限界が明らかに見えているからです。
少し自分のことを書きますが、研修医のときに何科の医師になるか迷った期間がありました。
いまの日本では、医師国家試験合格後、2年間初期臨床研修の期間があります。
2年間の初期臨床研修期間で複数の科をローテートし、その間に専門を決め、3年目に専門科の医師として働き始めます。
2年間複数の科を経験しても、浅く学ぶことしかできないので、研修期間をどうすればより良いものになるのだろうかということを時々考えます。
10数年前までは初期臨床研修期間が存在しておらず、そのころは医学部を卒業すると同時に大学の医局に入局するというのがスタンダードでした。
ただ、わたしにとっては研修期間が設けられたことで学生の頃に考えていた専門とは異なる科に進んだのは事実で、多くの素晴らしい医師の方々と出会うことができたのもかけがえのない経験です。
研修期間中に、“治す”ということに限界が見えたのを覚えています。
そして、わたしは“治す”ということを目的としない麻酔科を選びました。
実際は、研修期間中に恩師から学んだ手術室麻酔はとても楽しくて、そのときの恩師に常々心から感謝しています。
人生において楽しさを教わることはそれほど度々あることではなくて、それはなぜかというと、日本では仕事を心から楽しんでいる人が少ないからだと思います。
少し脱線しましたが、西洋医学で“治す”限界があると考えている医師は少なからずいます。
日本医療はそろそろ本気で、東洋医学を含め他の医学の学問体系をスコトーマから出すことが必要なのではないかと思います。
日本の医師達が気付き始めている以上、日本医療は、世界中に存在する医学に関する学問体系を正視する時期がそろそろ来るのではないかと考えます。
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