懐かしい、という日本語
先日の英会話のレッスンで、自分の大好きなものや好きでないもの、なんとも思わないものについての表現の仕方を習いました。
実際のところ、今のわたしにはこだわりがあまりなくて、予習の時点で「なんとも思わない」や「なんでも好き」という文章が多くなりました。
今は食事にも音楽にも「大好き!」がなく、結果として、「以前はこういったものが好きでした」という予習になりました。
レッスンのときに英会話の先生と話をしながら、以前はいろいろなこだわりがあったなぁと思い返していました。
こだわりといいますか、言うならば執着ですね。
10代から20代のころには、好きなミュージシャンやバンドがいくつかあって、多くは洋楽でしたが、歌詞を今でも全部覚えているくらいよく聞いていたものもあります。
あるミュージシャンについて話をしたとき、英会話の先生もたまたま同じミュージシャンが好きで、話が盛り上がりました。
ついつい「あー、懐かしい!」という日本語が口をついて出ました。
英会話の先生は楽しげに、「NATSUKASHII!それとピッタリくる英語はないの!言うとすれば…」
と、いくつか、“懐かしく思う”を意味するフレーズを教えてくれました。
どんな言語同士でも、どんなに上手く訳してもぴったりの意味にはなりにくいと思っていましたが、「懐かしい」に関しては興味深いなと思いました。
多くの日本人は日本の文化の中にずっといるのでスコトーマ(心理的盲点)になりがちですが、たぶん日本人は、自分たちが考える以上に過去の話をして懐かしんでいます。
しかも、日本人は懐かしい話が大好きです。
わたしの周りにも、大昔の自分の武勇伝が大好きで、ずっと過去の話をしている人がいます。
何かを懐かしむことは過去を向いていることに他ならず、人生の多くの時間を過去を見ながら過ごした場合、必然的に「今」と「未来」が見えづらくなります。
何かを見ることは、他のものを見ないことを意味します。
良い悪いではなく、何を見るか、選択するのはわにしたち自身です。
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