続「ちいさなちいさな王様」
続編です。
この本の中のあるシーンが素敵で、印象に残っています。
「4 命の終わりは永遠のはじまり」という章で、夏の夜に「僕」と「王様」が一緒に空の星をみています。
実際には、「僕」の上に「王様」が仰向けになってひっくりがえっています。
僕の、「自分がひどくちっぽけで、無意味なものに感じるよ」という言葉に対し、王様が「おまえというやつは、それだけ大きな図体のくせして、あの彼方にある星をちょっと見ただけで、もう自分がちっぽけだなどと思うのかね?」と言っています。
このあと、王様が自分が星を見てどんな気分になるか話した言葉が、とても魅力的なので、ここは全文引用します。
「なんだか、自分が巨大になっていくような気がしてくるのだ。おれはどんどん伸びて大きくなっていくばかりだ。宇宙までとどくぐらいにな。大きくなるといっても、あの、空気を入れてふくらんでいく風船のようにではないぞ。あんなのは、いつかは限界に達して、パンッと割れてしまうからな。そうではなくて、まったくなんの心配もなく、あたりまえのようにすくすく大きくなるのだ。なにか、表面の皮とかが、無理に薄くひっぱりのばされていったりするようなことはない。自分がまるで、もくもくとふくれあがっていくガスになったような気分だ。そのうちにおれは、宇宙の一部にすぎない存在ではなくなる。おれ自身が宇宙全体となって、あの無数に輝く星さえも、おれの中にあるのだ。この気持ち、想像できるかね?」
王様の気持ち、想像できますか?
もしかしたらできる方もいらっしゃるかもしれません。
この王様の言葉はとても大切なことを表現していると思います。
「自分自身というものが、宇宙を内包する」というような表現になるかと思うのですが、そのことを優しくキラキラと表現している気がします。
この本を子供に読み聞かせたら何を感じるのだろうと、とても興味深いです。
訳も素晴らしいですし、挿絵もとても美しいです。
小さな王様が胸を張っていたり、ちょこんと座って居たり、この挿絵はミヒャエル・ゾーヴァ氏にしか描くことができないのではないかなと思います。
機会がありましたら、ぜひ一度読まれてみてください。
「ちいさなちいさな王様」(アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、那須田淳/木本栄共訳 講談社)
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