「ちいさなちいさな王様」
少し前から、不要なものを手放すという作業を続けています。
その作業の中で、「ちいさなちいさな王様」という本を久しぶりに手に取りました。
挿絵がとても魅力的な、「ちいさなちいさな王様」(アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、那須田淳/木本栄共訳 講談社)です。
これは妹からもらった大切なものなので、手放しません。
この物語の登場人物は、「僕」と「王様」で、王様は十二月王二世という名前です。
「王様」は「僕」と出会った時には「僕」の人差し指ぐらいの大きさです。
王様の世界では、生まれる時は大人としてベッドで目覚めます。
王様の言葉を引用すると、「おれはだな、ある朝、ふいにベッドで目覚めたのだ。それから仕事をしに王子の執務室に行ったのさ。実に、単純なことじゃないか。おなかの中にいるだと?ばかばかしい!人生というのは、ある日起き上がって、それですべてがはじまるのだ」と王様は言っています。
この言葉はなかなか面白くて、わたしたちも朝起きたとき、1日という人生を始めている気がします。昨日までの記憶との連続性があるためにすべてがはじまったようには感じませんが、実際には新たに始まっているのではないかと思うことがあります。
王様の世界では、そのあと少しずつ小さくなって、見えなくなるぐらいになるそうです。
小さくなればなるほど、多くのことを忘れていくけれど、人生経験が豊富なので偉いそうです。
王様が見えなくなったら、王子が王位を継承します。
僕が質問しています。「きみには、ひょっとして永遠の命があるのかい?」
そのあと僕がひとしきり質問したあと、それに対して王様は「そんなこと、おれにもわからないな」と答えています。
「死」という言葉が出てこないのが気になるというか、魅力的というか、小さくなって見えなくなったあとどうなるかはわからない、というのがなんとも深いです。
わたしはいまだに、この本のストーリーの意味がはっきりと理解できずにいます。
短い本なのですが、いろいろな意味がたくさん込められていて、それをすべて拾いきれずにいるような感覚です。
続編に続きます。
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