「ハウルの動く城」パート3-戦争
先日、宮崎駿監督「ハウルの動く城」において、ハウルがその場面ごとに違って見えることについて書きました。
「ハウルの動く城」の原作は、Diana Wynne Jonesによる「Howl’s Moving Castle」です。
そして「ハウルの動く城」では、原作にはない、戦争のシーンが付け加わっています。
宮崎駿監督はなぜ、戦争のシーンを描く必要があったのか?
この意味は「ハウルの動く城」の中でも非常に深いところにあるように思います。
戦争のシーンをもって、宮崎駿監督はわたしたちに何を伝えようとしているのか?
しかも、おそらく子供たちに何かを伝えるために、戦争のシーンをあえて付け加えています。
戦争を全く経験していない子供たちに対して、です。
わたしも戦争を直接的には知らない世代に入ります。
なぜか?
「戦争の残虐さを伝えたいから」それだけではない気がします。
過去の戦争について考えるべきなのか、現在起きている戦争や争いについて考えるべきなのか、未来に起きる可能性のある戦争について考えるべきなのか。
すべてについて考えざるを得ないような描き方をしているような印象を受けます。
過去の日本に焦点を合わせると、戦前の日本、戦時中の日本、戦後の日本、これを正視するように言われているようにも感じます。
ひとつ言えることは、戦争が起きれば、100%人間が死にます。
「ハウルの動く城」を観る機会がありましたら、みなさんそれぞれに、じっくり考えていただければと思います。
ひとつ、思い出したことがあるので追記します。
20数年前に、今は亡きわたしの祖父に、戦争で経験したことを書いた原稿を渡されました。
何部か冊子にしてほしいと言われ、何部かコピーをして、田舎の文房具屋さんで手に入る材料で、冊子にした記憶があります。
当時のわたしは、ほとんど何も理解していませんでした。
今手元になく、以前実家に確認したときにもすぐには見つからないと言われました。
内容は一部覚えていますが、とてもじゃないですが、ここには書けないような悲惨な描写がされていました。
本当に、ここには書けないです。
わたしの祖父の身体には2か所、撃たれた銃弾の跡がありました。
医師の視点から見ると、たまたま致命的ではないところに当たっています。致命的ではないにしろ、誰かに撃たれたことは確かで(おそらく祖父も誰かを撃ち)、出血し痛みに苦しんだであろうことも確かです。
いま心から、祖父の書いたその文章を読みたいと感じています。
彼が何を残そうとしたのか、知りたいです。
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