201606.07

「なんだか変」を感じる

Post by 中西千華 2016年6月7日
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患者さんが全身麻酔の手術を受けるためには、点滴が必要となります。

病院によって、また、手術の時間帯によって、点滴が入った状態で手術室に入室される場合と、点滴を手術室でとる場合があります。

先日、点滴が入った状態で入室された患者さんに、全身麻酔のための薬剤を2cc、点滴の側菅から投与しました。

薬剤を投与するとき、血管の痛みを感じることがあります。

考えられることとして、投与速度が速いために感じる痛み、薬剤による痛み、点滴が漏れていることによる痛み、などが考えられます。
このとき2cc入れて、痛がるタイミングや痛がり方に「なんだか変」と感じました。

点滴が入っている腕を見ても、点滴が漏れている兆候ははっきりとは分かりませんでした。

ただ、自分が「なんだか変」と違和感を感じた以上、何かあります。

それ以上の薬剤の投与はやめ、点滴をとりなおしました。

結果としては、おそらく漏れていました。

自分がとった点滴であれば確実性は自分の感覚で分かりますが、自分がとったものでなければ、患者さんをよくよく観察しないと分かりません。

 

 

「なんだか変」と感覚で捉える感性を養ってください。

そのためには、あらゆる事象やモノを深く観察する習慣をつけることが必要です。

よくよく観察して、あなたの全身を用いて、”本質”を見てください。

201606.02

術中覚醒

Post by 中西千華 2016年6月2日
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今日の麻酔勤務中に、術中覚醒の話が出ました。

術中覚醒というのは、全身麻酔の手術中に患者が起きている事象を指します。

トレーニングされた麻酔科医が担当していれば通常起きませんし、麻酔科医にとっても術中覚醒は絶対に起こしたくない事象です。
術中覚醒では、患者は起きているので、音はクリアに聞こえます。

鎮痛がきちんと出来ていれば、痛みは感じませんし、鎮痛が不十分であれば痛みを感じます。

筋弛緩薬が効いていれば患者は動くことができず、金縛りのようだと形容されることがあります。
もし、筋弛緩薬が効いていて、鎮痛が不十分、かつ覚醒している場合…

患者は、想像を絶する恐怖の中に閉じ込められると考えられます。
ふと、今の日本には、術中覚醒のような人生を送っている人が多くいるのかもしれない、と思いました。

しかも、自分では気付かないまま、縛られた日々を過ごしていることがあります。

 

時々、自分の状況を客観的に眺める習慣をつけるといいかと思います。

毎日、やりたいことをして過ごしていますか?

今、ワクワクしていますか?

そして、今、自由ですか?

201605.17

麻酔器とゴール

Post by 中西千華 2016年5月17日

これまで何千件と麻酔をしてきた中で、今日は初めて、麻酔器の電源が手術中に切れました。

電球が切れるような切れ方で、うんともすんとも言わなくなりました。

麻酔器とは、全身麻酔中に患者さんに呼吸をしてもらうためのツールです。

吸入麻酔薬は使う時と使わない時があります。

通常全ての麻酔器は、停電の際にも酸素など各ガスは流れる構造になっています。
電源が切れたとき無意識下で瞬間的に起きたこととして、

1.電源が切れた瞬間、私の超短期的なゴールは、「患者さんに適切に呼吸してもらい、問題なく手術が終わる」ことに設定されました。

2.このゴール達成のための手段が自分の中で2個浮かびました。

この瞬間に無意識の中でゴールは達成されていました。
落ち着いてから、麻酔器に黄色い「パニックカード」が貼ってあるのを見ました。

どの麻酔器にも、停電時に麻酔科医がパニックにならないように貼ってあるもので、

分かり易く言うと「停電時でも酸素は流れますよ」と書いてあります。
今日経験した超短期的なゴール設定は、普段のゴール設定とも通じています。

私の中で「患者さんに適切に呼吸してもらい、問題なく手術が終わる」というのは微塵の疑いもない確信でした。

ゴールとは確信するものです。

その後は無意識が最適な方法へ導きます。

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